長野県では、3月がスギ花粉が最も多い時期ですが、
花粉症のくしゃみで交通事故(3人死傷)になり、「速やかに運転を中止すべきだった」と有罪判決が下された例もあります。

報道によると、

「愛媛県今治市の国道で昨年4月に乗用車を運転中、花粉症による連続したくしゃみなどの症状で事故を起こし、3人を死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた県立高の教頭(54)=休職中=に、松山地裁今治支部は2日、禁錮3年、執行猶予4年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。
満田智彦裁判官は、被告が花粉症による目のかゆみやくしゃみなどの症状が激しくなった際、容易に駐車できる場所もあったのに運転を続けたと指摘。「事前に花粉症対策の薬を服用していたとしても、症状が出てしまった以上、速やかに運転を中止しなければならず、過失は軽いとはいえない」と述べた。

 判決によると、昨年4月23日午後2時35分ごろ、今治市内で乗用車を運転中、花粉症の症状で前方注視が困難になり、対向車線に車をはみ出させ、軽乗用車と正面衝突。軽乗用車に乗っていた女性=当時(61)=を死亡させ、同乗の息子2人にも重軽傷を負わせた。」

(産経WEST 2018.2.2)

 

被告人は、自分が花粉症であること、当日、花粉が多いということは、事前に分かっていたでしょうから、判決の指摘するとおり、症状がひどくなった時点で運転をいったん中止するなど、事故の発生を回避できたと言えるでしょう。

花粉症の症状がひどい方は大変だとは思いますが、花粉症を理由に無罪となったのでは、交通事故を起こした者が皆「花粉症だった」と言うことになってしまいかねません。

 

信濃法律事務所 弁護士 臼井義幸