離婚訴訟などで広く使われている養育費の算定表について、最高裁判所が社会情勢の変化を踏まえて見直すことになりました。

現行の算定表による養育費は低額との批判もあり、新たな算定表では夫婦の収入などによっては養育費が増額されるケースもあるとみられます。

最高裁は12月23日に新算定表を公表する予定で、ウェブサイトにも掲載されます。

現行の算定表は2003年に有志の裁判官らが法律雑誌に公表したもので、子どもの年齢や人数、夫婦の収入などを当てはめれば容易に金額を示すことができ、実務で長年使われてきましたが、近年は「現在の生活実態に合っていない」などと指摘が出ていたため、最高裁は昨年、見直しのための研究に着手していました。

新たな算定表では最近の家庭の支出傾向などを反映させる方針で、増額されるケースもあれば、現状と変わらない場合もあるとみられますが、養育費をもらう側にとっては希望の持てる内容だと考えています。

これまでも養育費を支払う側からは『金額が高い』との声が多くありました。現在の算定表よりも増えたら、支払え(わ)ない事例が増えることは懸念されるところです。

しかし、民事執行法が改正されることで、養育費未払いが減ることが期待されています。改正法によって、財産開示の拒否や虚偽の告知に刑罰が科されたり、回収する際にとても重要な情報となる勤務先情報を取得しやすくなったりすることで、支払いを確保する手段が補強されるからです。

養育費は、子どもの健やかな成長を経済面で支える重要なものですから、この改正とあわせて考えると、今回の見直しはお子さんにとって、また養育費をもらう側にとっては希望の持てる見直しだと思います。

もっとも、子どもの健やかな成長のためには、養育費とともに子どもの精神面を支える面会交流も大切です。

子どもにとって意義のある面会交流であっても、不当に拒否された場合の強制手段の実効性が乏しく、養育費と比較して不公平と言われることもあります。養育費を自発的に支払ってもらうためにも、面会交流の実施確保について法的な支援が今後望まれるところだと思います。